犬のしつけには欠かせないオペラント条件付け

トレーニング

犬との生活が屋内外だったころから屋内だけになり数十年が経ちました。

生活様式が変わってきたことで関係性も同時に変わってきています。「番犬」と言われ、外に小屋があった時代から、「家族」になり、寝食を共にするようになりました。

かつては吠えることもさほど問題ではありませんでしたが、集合住宅が増え、隣近所の騒音や干渉にも敏感になりつつある世の中ではトラブルや問題を抱えやすくなっています。

そこで必要なのはトレーニングやしつけです。

問題を起こさないことはもちろん、お互いの信頼関係を築いてより快適な生活を送るためにも必要不可欠です。

独学でオリジナルなしつけ方ももちろん悪いことではないですが、間違ったしつけをしてしまうとワンちゃんがこんらんしてしまう原因になり、うまくしつけられなくなってしまいます。

それをなくすためにも正しい知識を学びましょう。

【トレーニングの基本】

一昔前ではしつけというと叱る方法が主流でした。あまりエスカレートすると手を出す人もいたように思います。

この方法、かなり前時代的です。というか、もちろんこの方法でもしつけることは可能ですがかなり大きなリスクを伴います。

現代では基本的にほめる、おやつをあげることをメインにしつけをしていきます。

そして、しつけ方の方法は大きく分けて2つの方法があるので、それぞれ説明していきましょう。

【オペラント条件付け】

犬のしつけをするのに必ず通るのがこの「オペラント条件付け」です。心理学用語の一つで、しつけやトレーニングをするのに必要な技術になります。

オペラント条件付け:自発的な行動に対して、何らかの刺激を与えることで、行動を変容させる過程

つまり、自ら起こした行動に対して、良いことや嫌なことを与えることでその行動が増えたり減ったりする、ということです。

ちょっと難しいので例え話をしましょう。

 ネズミの入った箱に一つのボタンがあります。

 このボタンに偶然ネズミが触ったときに餌が出ます。

 それに気づいたネズミはボタンを自発的に押すようになります。

 ネズミが「ボタンを押す」という行動に対して「餌が出る」という報酬を与えられることによって「ボタンを押す」という行動が強化されたわけです。

これを「正の強化」と呼びます。

行動に対して、刺激が起こることを「正」、無くなることを「負」と言い、その結果行動が増えることを「強化」、減ることを「罰(弱化)」と言います。

「罰」というとマイナスなイメージを持ちますが用語では単に行動が減少することを指します。この表現が一番厄介で難しいところです。ものによっては「弱化」と表記しているところもあります。

それぞれの組み合わせをまとめるとこんな感じ。

①は刺激を与えることで増える、②は刺激を与えることで減る。③は刺激がなくなることで減り、④は刺激がなくなることで増えることを示しています。

かなりややこしいと思うので、どれがどれか覚える必要はありませんが、理論だけでも覚えておくとしつけやトレーニングのしやすさが格段に上がりますよ。

基本的には①か③を軸にトレーニングすることをお勧めします。

②は減らしたい行動に対してなにか嫌なことを与えるのですが、これは信頼関係を壊しかねない非常に難しい行為ですので、お勧めできません。

④に関しても同じで、なにより嫌なことをした結果行動が増えるというのは想像がつきにくいと思います。

いいこと(例えばおやつをあげる、ほめる、遊ぶ)を増やしたり減らしたりすることでトレーニングをしていくと信頼関係も同時に深めることができると思います。

【トレーニングへの応用】

オペラント条件付けは大体のトレーニングに対して有効です。

以前お話しした「リーダーウォーク」もこの原理を使ってトレーニングしています。

「リードを引っ張る」と「臭いが嗅げる」「行きたいところに行ける」といういいことが起こるため、より「リードを引っ張る」行動が強化されます。

「リードを引っ張る」とき、立ち止まって動けない状態を作ることで「臭いが嗅げない」「行きたいところに行けない」という嫌なことが起こるので、「リードを引っ張る」ことが減り、飼い主さんの言うことを聞きやすくなります。

この調子で、「飼い主の横について歩く」と「おやつがもらえる」「ほめてもらえる」といういいことが起こることを覚えさせれば「飼い主の横について歩く」ことが増えていくのです。

一つ注意しなければならないのは行動を「増やす」ことに比べると「減らす」ことは時間がかかります。

「吠えること」「噛むこと」はもともと本能に従った行動でもあるので、長期的なトレーニングが必要になります。

【まとめ】

さて、今回は「オペラント条件付け」についてお話していきました。

トレーニングをしていく上ではかなり重要な原理になるので、ぜひ頭の片隅にでも入れておくといざというとき便利です。

もちろんこの方法でないとしつけられないということではないですし、十分にコミュニケーションの取れている関係性であれば、自然とできているということもあります。

犬との触れ合いを通じて自分たちにあったトレーニングを探してみてください!

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