今回は二つの条件付けの一つ「古典的条件付け」についてお話します。
それについてこんな有名な実験が。
「犬にベルを鳴らしてから餌をあげ、それを繰り返しているうちに、ベルの音だけでよだれが出るようになった。」
という実験。
パブロフという学者が犬を使って実験をしていたこの研究で、そこから「パブロフの犬」という通称が使われるようになりました。
本来「ベルの音」は「よだれが出る」こととは関係ないはずなのに不思議ですよね。
これはいわゆる「条件反射」というもので、身に覚えのある方はたくさんいると思います。梅干しやレモンを見るとよだれが出るのはこと古典的条件付けによるものです。
それでは詳しく説明していきましょう。
【古典的条件付け】
「パブロフの犬」実験を例にお話ししましょう。
本来「ベルの音」は「よだれが出る」こととは無関係ですが、本来の刺激である「餌をあげる」ことと同時に行うことで、「ベルの音」でも「よだれが出る」ようになります。
「よだれが出る」ことは本来持っている反応(無条件反応)。
「餌をあげる」はその反応を引き起こす本来の刺激(無条件刺激)。
「ベルの音」は「よだれが出る」ことと関係のない刺激(中性刺激)。
条件付け前では、「餌をあげる」と「よだれが出る」反応が起こります。
ここで「餌をあげる」と同時に「ベルの音」を聞かせます(対提示)。
そうすると「餌をあげる」ことをしなくても「ベルの音」を聞くだけ(条件刺激)で「よだれが出る」ようになります(条件反射)。
まとめるとこんな感じ。
少しはわかりやすくなったでしょうか。
つまり、この条件付けをすることで飼い主さんの任意の合図でしてほしい行動を定めることができる、ということです。
よくクリッカーの音だけで犬が飼い主の言うことを聞く、なんて場面を見たことがあるでしょう。
これもこの「古典的条件付け」によるものです。
【古典的条件付けとオペラント条件付けの違い】
代表的な学習パターンがこの「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」の二つです。
この大きな差は「受動的」か「能動的」かです。
「古典的条件付け」は起きた合図に対して行動を付与する「受動的」な学習です。
対して「オペラント条件付け」は起こした行動に刺激を与えることで強化もしくは減少させる「能動的」な学習です。
行動を覚えさせたいときは「古典的条件付け」、ワンちゃんが起こした行動を強化(もしくは減少)させたいときは「オペラント条件付け」をもとにトレーニングするとよいでしょう。
【古典的条件付けの応用】
「マテ」や「オスワリ」、「オテ」などをさせたいときに合図を出しますよね、声をかけたりジェスチャーをしたり。
これがまさに古典的条件付けによるもので、日常的なしつけをするにあたっては必要最低限のものだということがわかると思います。
合図と一緒にほめたりおやつをあげながらトレーニングをすると覚えやすくなります。
ほめるとかおやつをあげるとかプラスの感情に直接結びつく行動を加えるとそれぞれの合図と行動がつながりやすくなり、しつけがスムーズになります。
基本的な知識の一つなので、ぜひとも覚えておきましょう。
気を付けてほしいことが一つ。
「パブロフの犬」では「ベルの音」によって「よだれが出る」ように学習したわけですが、「ベルの音」を出しても「餌を出す」ことをずっとしないでいると「よだれがでる」反応は段々なくなっていきます。
これを「消去」といいます。
せっかく覚えても、意味がないことがわかるとやらなくなるのと一緒ですね。
条件付けの効果は永遠に続くものではありません。
日常的にトレーニングを忘れないようにしていきましょう。
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